廃墟、秋風、追憶

廃墟、風景

虎ノ門・麻布台地区再開発 「消滅前に」その3

その3

 

 

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夜に染まるまで

日が沈み夜が近くなる。暗くなると探索に支障がでるのでまた後日にしようかと考えていたのだが仕事が忙しくなる予感がしてきたので続行する。

ところでこの建物を見ていただきたい。こちらのマンションは廃墟なのだがどうやら見学が出来そうだ。人通りが途切れた所でお邪魔する。

 

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非常に見にくくて申し訳ない。外からの目撃を避けるためフラッシュは焚かなかった。

玄関のドアは木製でインターホンは旧式のもの。因みに当物件にもアスベストが使われている。道路から見やすい位置に窓があるため中腰での移動。窓の脇を通る際は頭隠して尻隠さず状態になるので素早く移動する。

 

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階段は水浸しだ。雨漏り?水漏れ?いずれにせよ上階からの浸水だ。

それにしても階段を上る際の、「ピチャ…ピチャ…」という音と建物内に漂うなんともいえない詰まった空気感と合わさり結構怖い。こういう廃墟特有の張り詰まった緊張感と空気感というのは一体何なんだろう。建物を出れば普通に流れている空気がここにはない。よく言われる「外界と隔離された空間」というのはこの事か。こういう時、スピリチュアル的な事を信じてしまいそうになる。

 

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4階に上がってきた。浸水の原因は水道管の破損だった。破損の原因はなんだろう。破裂?コックの締めが甘いのか?いずれにせよ解体予定のためか、長い間放置されている。そして今自分が立っている階段を上ると屋上(5階)になっている。1階から4階まで、全てのドアが施錠されていたので探索した階段と屋上のみ。

 

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屋上に続くドアを開けようとしたのだが何かに引っかかって少ししか開かなかった。

隙間からは東京タワーが見えた。この建物よりは先輩だと思うが、そこまで年は離れていないような気がした。写真には写っていないが、床にソファーが置いてあった。

 

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探索を終え、建物を出ようと階段を下りようとしてなんとなく外を見た。藍色だった。

 

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