旧和賀川水力発電所 探訪記録 前編
2019年10月29日火曜日10:00-岩手県僻地。
鬱蒼とした木々と灰色の空が辺りを薄暗くする。交通量が極端に少ないせいか、草木が迫ってきていて実質一車線になっていた。実際に車が走れる幅は写真で見るより狭かったが、道自体は綺麗で走りやすかった。カーブ続きなのでスピードは出せないが。
所々に残っているブレーキ痕が気になった。
そしてすぐにアスファルトは無くなり砂利敷きになった。ここから先は北本内川林道となる。この林道の探索も行いたいが今回の目的は水力発電所跡なので通り過ぎます。
準備をして探索開始。中学生の頃からの夢の一つなので絶対に達成します。
目の前には橋脚跡。巨大な鳥居。対岸にも同じ橋脚跡がありました。
カーブミラーがある。車が通れる幅ではないのでバイクや自転車が通っていたのだろうか?なんて考えながら歩いて行くと段々と道は広くなり、ついには自動車が通れる程の幅になった。
元々はあの橋脚跡付近の道幅も今より広かったのだろう…
紅葉を眺めながら小道を5分程度歩く。
因みにこの周辺は熊の目撃情報が多いので、熊除けスプレーの持参をお勧めする。
少し歩いて、石碑を発見した。「?白鷲鑛山遭難者供養塔 昭和二十年三月二十三日」と書かれている。周辺では和賀仙人鉱山跡、遠平採鉱所(平和街道筋)が近いが…そもそも名前が違う…調べてもヒットしなかった。町の資料館等に行けばあるかもしれないので、次回は探索前に一度資料館へ寄ろうと思う。
さらに道沿いに進むと、水の神様がいる。そしてここから道が2手に分かれており、陸路と水路を選択できるらしい。水路の方に続く道はすごく急な斜面になっており、降りられる自信が無かったので陸路を選択する事にした。
そして、ついに例の橋です。踏み板が無い事は知っていたが、想像していたよりも鉄骨と穴の間隔が広い。…落ちても死ぬ事は無いだろうが。…両足で穴を跨ぐように、ゆっくり進む。(写真撮れませんでした)
渡りました。ワイヤーやネットは新しいのに対して鉄骨はかなり年季が入っている様子。途中、送電線が見えたので何らかの関係があるの?
…まぁここで考えていても仕方がないので取り敢えず先に進もう。今日は午後から「アパート」の見学をする予定もある。ルートがよく分からないが獣道が出来ているのでそれを辿り脆い岩だらけの崩壊現場を、斜面を横断する形で進む。
こんな感じ。斜面自体がかなり脆く、その都度強度を確認しながら進む。ですが、場所によってはシダ類が繁茂していてスイスイ進めます。
そして、もうすぐかなと思った矢先、
問題が起きました。
……これどうやって渡るの?
大変分かりにくいが、写真中央の部分にコンクリート製の大きな溝があるのだ。下ばかり見てたせいか直前まで気付かなかった。恐らく何かの為の排水路の類いだと思う。それは後に調べるとして、取り敢えず排水路の対岸のへりに手摺りがあるのを確認。あの手摺りを使えば斜面を登らなくても上まで上がれそうだ。
たが問題はどうやって対岸に渡るかだ。排水路は意外と大きく深く、底部は苔むしており湿ってる。つまり滑る可能性大であり大変危険。
…登る、渡るが無理なら下るしかない。川岸にある放水口まで降りれば平場のような、傾斜が緩やかになっている場所から渡れそうだ。例えるなら滑り台の一番下の平たい部分。
かなり恐怖を感じた。
感覚的には高層マンションに作られた、地上まで続く手すりの無い滑り台を降りている感じです。滑り落ちたら綺麗に飛び込めそうだが、左側の崖に落ちたら生きて帰れるか分からない。
上の写真から左側を見る。近くで見ると圧巻。しかもこの場所、崩落したせいで排水路の底部が剥き出しになってて排水路と崩落現場にかなりの落差がある。余計怖い。
渓流を一望できる。紅葉狩りには最高の場所…
さて、汗だくになりながらも下に降りてきた。
ここから、先程見つけた手摺りを頼りに上へ上がります。手摺りの間に土壌や小石が堆積しており掴みづらい。個人的な考えだが廃墟の構造物、又はその周辺の環境を弄るのは嫌いなので登るのに必要な分の堆積物だけ落として掴み先へ進む。
全体の半分くらい登って来たところで 次の手摺に手を伸ばすのをやめ、水分をとる。足場が悪く手摺も掴みづらい。そして、落ちたらどうしようという一種緊張感のような恐怖感。汗だくなのは体だけの問題ではなかった。水をバックに仕舞って上を目指す。
排水路の傾斜が緩やかになり、平たい場所に出た。
上がっていた心拍数と汗が引いていく。「美しい」という言葉さえ出てこなかった。
ただ、周りと上手くやってるなという安心感というか、ほっとした感じがした。
木製の窓枠の隙間から道路や家が見える。あちらからは見えてるか?
余談・疑問点
この探訪記録の橋を渡り切った後のワイヤー等が新しい事について。
これに関してなんですが、実はサージタンクと発電所入り口に「立ち入り禁止」のkん番が転がっていまして、この看板の設置者は恐らくあの橋を渡って来たか渡河をしてきたことになります。と言いますのも現在当物件へのアクセスルートはこの2つしかなく(建設会社?の敷地からのアクセスルートもありますがこれには許可が必要)、そのため橋の安全性確保のためワイヤーとネットを補修した可能性。(ありえない?)
そしてもう一つ。当物件へアクセスするために最初にカーブミラーのある道を進むのですが、この道に沿って頭上に電線が張ってあるのです。これの保線はどうしているのでしょうか。まさか。恐らく間違った考察でしょうからまた更新します。